ジュニア世代の8人制フォーメーション
日本のジュニア世代のサッカーは8人制。フォーメーションも普通のサッカーとは異なりますので多くの指導者が頭を悩ますポイントなのではないでしょうか。
全学年統一して同じフォーメーションで試合を行うチームもあれば、メンバーの特性に合わせて学年ごとにフォーメーションが違うチームもあります。また相手チームの戦術に合わせてフォーメーションを決定するチームもあります。
ディフェンスラインから3-3-1が最もスタンダードなフォーメーションで多くのチームが採用しています。守備のカバーリングがしやすくジュニア世代では一番守備が安定するフォーメーションなのではないでしょうか。組織的な攻撃をする際にサイドバックとサイドハーフの位置が同じレーンで近くなりがちなので、攻撃時にはサイドハーフが高い位置をとるようにさせるなど、攻撃をうまく機能させる戦術は必要だと思います。
他にも2-4-1や3-2-2、4-2-1など様々なフォーメーションがあります。フォーメーションの善し悪しの論争は尽きないと思いますが、一番大事なことはどのようなフォーメーションを採用すれば「選手が成長するのか?」です。
もちろんここ一番の公式戦では使い慣れたフォーメーションで勝ちにいくことが大事だと思いますが、週末のトレーニングマッチにおいては「選手の成長」を第一に新たなフォーメーションを試してみるのも良いと思います。
選手を成長させるフォーメーションとは!?
前提として、すべての土台となるサッカー・プレーの原則を選手を達に覚えさせる必要はあると思います。シチュエーション毎の身体の向き、サポートの位置・角度・タイミング、カバーリングなど基本的なことを試合、トレーニングで身につけていきましょう。基本を覚えるうえで分かりやすいフォーメーションはやはり3-3-1だと思います。まずは3-3-1でサッカー・プレーの原則を覚えていきましょう。
ある程度のベースができてきたら選手を成長させるためのフォーメーションを検討していく必要があるでしょう。フォーメーション設定のポイントは「ポジションの流動性」と「プレー難易度」です。
ポジションの流動性はあるか?
例えば同じ3-2-2のフォーメーションを採用するチームがあったとしても、流動性の有無で中身は大きく変わります。ディフェンスラインの3枚が全く上がらないチームであればポジションの流動性はあまりありません。
一方で状況に応じてサイドバック(時には両サイドバック)が相手のペナルティエリアに入っていく、インターセプトしたセンターバックが中央突破する、2枚しかいない中盤がFWを追い越していくなどを実行するチームは流動性が高いと言えます。
流動性が高ければ攻撃時に相手がマークを掴みずらいという大きなメリットがありますが、決まった形でのプレーにはならないので様々なシチュエーションが生まれます。その都度、サポートの位置や角度・タイミングはもちろん、攻⇒守の切り替えのタイミングで誰がスペースを埋めるのか?カバーリングに入るのか?も状況次第で変わってきます。
もちろん、「チームの決め事」は最低限必要ですが、プレーの原理・原則を理解させたうえで、流動的にポジションを動かすようにすると、様々なシチュエーションの中で「状況認知」「判断」「実行」を繰り返す事になり、状況に合わせて臨機応変に対応できる選手に成長していくことができます。
個人におけるプレーの難易度は適切か?
同じフォーメーションを続けてチーム戦術・約束事を徹底していくとことで強いチームになっていくことは間違いありません。それ自体を否定するつもりはまったくありませんが、チームにフォーカスするだけでなく時には個人にフォーカスする必要があると思います。
例えば3バックで安定しているチームをわざと2バックのシステムに変更します。2バックでは1人あたりがカバーするスペースが広いため3バック以上に相手のプレーの予測、認知・判断の速さが求められます。3人配置していた中盤を2人しても同様のことが起こります。2人しかいないことでプレッシャーをかける位置、スピード、サポートの距離感、何もかも難易度が格段にあがります。
始めは上手くいかず失点を重ねて試合に負けることもあると思います。一方で個人の成長の観点ではどうでしょうか。
子どもによっては確立されたチーム戦術の中でチームが勝ち続け、自分が上手くなったと錯覚してしまうこともあると思います。(何度も言いますがチーム戦術の確立を否定しているわけではありません。)
フォーメーションの変更により、個人に負荷をかけて成長を促すような試合も時には必要だと思います。子どもたちに刺激を与える不安定な試合を試してみてはいかがでしょうか?もちろんコーチ陣の我慢は必要になると思いますが。