子どものサッカーの試合を見ていると「もっと頑張って走れるんじゃないか!?」「そこはダッシュして戻るところだろう!?」など、思ってしまう保護者やコーチの方も多いのではないでしょうか。私もその一人ですので試合を見ながらついつい「もっと頑張って走れよ」と思ってしまいます。
しかし親やコーチの想いとは裏腹に、多くの子どもはなかなか子どもは走れるようになりません。中には試合中に体力が無限にあるかのように走れる子どももいますが、その違いはなんでしょうか?
試合中走れない子ども(U10)が走れる選手になってきたプロセスをご紹介します。
サッカーを始めたころは走れていた。
サッカーを始めたのは年長時代。その頃は「負けるのが嫌い」「自分で点取りたい」という強い思いから自分の限界を超えるまで走っていました。もちろんポジションなどお構いなしに自陣のゴールに戻ってボールを奪い相手ゴール前まで突進するの繰返し。こちらが心配するくらい走り続けていたことを覚えています。
フォーメーションが決まり役割が明確に。
所属するチームではU9からフォーメーションが決まり、3-3-1のFWやCBをやるようになり役割が明確化。FWであれば目的はゴール前で点を取る、CBであれば最終ラインを統率して周りのカバーが中心になるため、「攻める」「守る」の役割が明確であり、基本的には動く範囲も限られます。本人としてはやりやすかったようですが、U10で3-2-2の中盤をやるようになり試合中に「走れない」ということが顕在化されてきました。
中盤(MF)で走れない試合が続く。
中盤にコンバートされてから時折良いプレーは見せるものの、ピンチの時にダッシュで戻れない、チャンスの時に味方を追い越したり、裏を抜けたりすることが少ないなど、全体的に走れていないなーという試合が続きました。本人としても大事な部分で走れていないなと感じていたようなので、試合中に走れるようになるためにどのように改善していくか試行錯誤していくことになりました。
なぜ試合中に走れないのか?
試行錯誤の結果として今は試合中に走れるようになってきましたので、サッカーの試合中に走れない子どもが走れるようになるためのポイントを解説していきます。
課題を解決するには当たり前ですがそれがなぜ起きているのか?という分析が重要です。走れない=体力がないと決めつけずに、なぜ走れないのか?という原因を突き止めることから始めました。
原因はいくつかありますが、多くの子どものプレーを見ていると①状況に応じたプレーの原則を理解していない。②認知、判断ができていない。③ミスをしたくない④純粋に体力がない。と複数の原因があるように感じました。
①状況に応じたプレーの原則を理解していない。 例えば攻撃においては数的有利を作ること。守備においては数的不利を解消することや緊急時には最終ラインに入ることなど、どのタイミングでどこに走るかという理解が浅く、「走れない」というケースもあります。とくに中盤の経験が浅い子どもだと「いつ」「どこに」走るのか?がわからず動けないことも多いのではないでしょうか。
②認知・判断が出来ていない。 プレーの原則を理解していてもその状況を認知して適切な判断を下すことができないケースもあります。攻撃時にチャンスとなるスペースを認知できない、守備時にボールサイドと逆側がピンチになりそうなことを認知・予測できないなど、認知・判断のレベルが低く「走れない」子どもも多くいると思います。
③ミスをしたくない。 試合中に走れるようになるとチャンス・ピンチでプレーする機会は増える一方で決定的なシーンでミスをしてしまう可能性もあるわけです。監督やコーチからプレーの「結果」に対して厳しく怒られてしまうチームにいると、子どもは自然とチャンスやピンチのシーンでプレーをしたくなくなります。もしかするとそのような感情が働いているケースもありますので注意が必要です。
④純粋に体力が無い。 もちろん体力がなく走れない子どもも多くいます。その場合には体力をつけるトレーニングが必要ですが、やみくもに長距離走のトレーニングをしてもサッカーで使える体力はつきません。サッカーで使える体力はサッカーでつくと言われていますので上記の①②③を解消しながら沢山の試合にでることが理想です。自主トレーニングで体力をつける場合にはインターバルトレーニングなど、心拍数を高めるトレーニングが有効でしょう。
サッカーにおける体力・持久力アップトレーニング
サッカーは技術や戦術だけでなく、体力や持久力も非常に重要なスポーツです。試合中に常に動き続けるため、選手には高い持久力が求められます。ここでは、サッカー選手におすすめの体力・持久力アップトレーニングをいくつか紹介します。
1. インターバルトレーニング
インターバルトレーニングは、高強度の運動と低強度の運動を交互に行うトレーニング方法です。この方法は心肺機能を向上させ、持久力を高める効果があります。
方法:
- 100メートル全力でダッシュした後、50メートルをジョギングで戻ります。
- これを10回繰り返します。
- トレーニングの強度を上げるために、ダッシュの距離を増やしたり、繰り返す回数を増やすことができます。
効果: インターバルトレーニングを続けることで、試合中に急激なスピード変化に対応できるようになり、後半でも持久力が落ちにくくなります。
2. 長距離ランニング
持久力を向上させるためには、定期的な長距離ランニングが効果的です。長距離ランニングは心肺機能を強化し、筋持久力を高めます。
方法:
- 週に2〜3回、30〜60分のペースでランニングを行います。
- 自分のペースを守りながら、徐々に距離や時間を延ばしていきます。
- 途中でペースを変えることで、インターバルトレーニングの効果も得られます。
効果: 長距離ランニングにより、試合全体を通して高いパフォーマンスを維持できるようになります。
3. サーキットトレーニング
サーキットトレーニングは、異なる種類の運動を連続して行うトレーニング方法です。これにより、全身の筋力と持久力をバランスよく鍛えることができます。
方法:
- 20回のスクワット
- 15回のプッシュアップ
- 20回の腹筋
- 30秒のプランク
- 20回のバーピー
各種目を休憩なしで連続して行い、1セット完了後に1〜2分の休憩を取ります。これを3セット行います。
効果: 全身の筋力と持久力が向上し、試合中のあらゆる場面でパフォーマンスを発揮できます。
4. 短距離スプリント
サッカーでは、瞬発的なスピードが求められる場面が多いため、短距離スプリントは非常に効果的です。短距離スプリントは、筋力と心肺機能の両方を鍛えることができます。
方法:
- 20メートルのスプリントを10回行います。
- 各スプリントの後に30秒の休憩を取ります。
- 徐々にスプリントの距離を延ばしたり、回数を増やすことで強度を上げます。
効果: 短距離スプリントを行うことで、試合中の一瞬の加速力が向上し、相手を置き去りにするプレーが可能になります。
5. 高強度インターバルトレーニング (HIIT)
HIITは短時間で効果的に心肺機能を向上させるトレーニング方法です。短い時間で高強度の運動を行い、その後短い休憩を取ります。
方法:
- 30秒間全力でジャンピングジャックを行い、次に30秒間休憩を取ります。
- これを8セット繰り返します。
- 他の運動(バーピー、マウンテンクライマーなど)に置き換えても効果的です。
効果: 短時間で効率的に持久力を高めることができ、試合中のスプリントやダッシュに対応できるようになります。
トレーニンググッズの紹介
各トレーニングに適したグッズを使用することで、効果をさらに高めることができます。以下にいくつかのおすすめグッズを紹介します。
プライオボックス
プライオボックスはジャンプトレーニングに最適な器具です。さまざまな高さのボックスを使用することで、脚力と爆発力を鍛えることができます。
縄跳び
縄跳びは心肺機能を高めるだけでなく、全身の筋力をバランスよく鍛えることができます。軽量で持ち運びが便利なため、どこでもトレーニングが可能です。
ミニハードル
ミニハードルは、スプリントやアジリティトレーニングに最適です。小さなハードルをジャンプして越えることで、瞬発力とバランスを向上させます。
まとめ
サッカーにおける体力・持久力アップには、さまざまなトレーニング方法があります。インターバルトレーニングや長距離ランニング、サーキットトレーニング、短距離スプリント、高強度インターバルトレーニング(HIIT)などを組み合わせることで、全身の筋力と心肺機能をバランスよく鍛えることができます。これらのトレーニングを継続して行うことで、試合中に疲れにくくなり、パフォーマンスの向上が期待できます。
トレーニンググッズを活用し、効率的にトレーニングを行いましょう。また、自分のレベルに合ったトレーニングを選び、無理のない範囲で継続することが重要です。持久力を高めることで、サッカーの試合で最高のパフォーマンスを発揮しましょう。