ジュニア期のサッカーでよく議論される走り込みによる体力強化の是非。10数年前はボールを使っての練習よりも走り込みの練習する時間が長いチームも散見され、試合に負けた際、罰走として長距離を走るチームもありました。
また高校サッカーでは走り込み主体の練習で圧倒的な体力とフィジカルを武器に前線からハイプレスをかけ続けるチームもあります。高校世代ではチームとしてハイプレスをかいくぐれる技術・戦術を持てるチームも少なく、「試合に勝つための戦略・戦術」という意味では、非常に有効なものだと考えられます。
ジュニア世代でも同じことが言えて、技術的にはまだまだ未熟な選手が多い中、圧倒手的な体力を武器にハイプレスをかけ続けるチームは大会で上位に食い込めます。
ジュニア期の育成に走り込みは必要か?
では選手の育成という観点で考えると走り込みが必要なのでしょうか?サッカーでは状況の認知、判断の中で、「正しいポジション」に適切な「スピード・タイミング」で走る必要があります。「何も考えず」に「同じスピード・方向」に走り続けることはありません。
ですので、サッカーに必要な体力をつけるには高い強度で試合(または試合に近い練習)をするにが一番良いと考えられます。
ただただランニングをさせるチームはもう少ないと思いますが、走りのメニューでは「コーディネーション能力を上げる」「判断と反応速度を上げる」など、体力向上以外の目的を持ったものにすることで効果的な練習になるといえるでしょう。
育成の観点でも「体力は重要」
ただ何も考えずに行う走り込みは必要ありませんが、ジュニア期において体力のある・なしは非常に重要です。理由は「試合における経験値」の違いです。
体力のある選手は試合中、攻撃・守備あらゆる場面に顔を出し、カウンター時のアクションも速くボールに関与する機会が他の選手よりも圧倒的に増えます。つまり試合におけるあらゆるシーンを何度も経験することができるのです。サッカーは試合することで上手くなると言われていますが、体力があればその経験を多く積むことができます。成功体験も失敗体験も多く積んだ選手は、自ら考えるようになり練習の質も上がるため成長には体力が重要だと言えるでしょう。
お勧めの体力強化練習
とはいえ、そんな試合の機会が多くないという選手もいるでしょう。そんなときにお勧めなのは2人1組で前後になって行うランニングです。前の選手がランニングしながら「急激なスピードアップ」と「方向の変化」を行い、後ろの選手がそれについていきます。
前の選手が攻撃側としてマークを外すイメージで何度もアクションを行い、後ろでついていく選手は守備側として相手の動きを予測しながらしっかりついていきます。
スピードの変化をさせながら走るトレーニングは想像以上にハードで3分もやれば息は上がります。サッカーの試合では同じスピードで走り続けることはありませんので、試合で使える体力をつけるには、なるべく試合に近い状況をつくってのトレーニングをすることが必要です。